『告白』
この息苦しさはなんだろう
衝撃というには軽すぎる
間違いなく傑作であることに異論はない
『 告白 』

途中何度席を立とうと思ったかわからない
ところがその映像の持つ力
あえてこれを撮ろうとした
その映画人の気概に打ちのめされ、
金縛りにあった
R15指定というわけではないが、
息子が観たい「アイアンマン」に
駐車場が満車で間に合わず、
分かれて入ったことに感謝すらした
「悪魔のいけにえ」のように
臓物が飛び散るわけでもないのに、
全編に充満した人間の悪意に、
何度も吐き気を催した
過呼吸にすらなりそうだった
『サード』、『時計じかけのオレンジ』、
『19歳の地図』、『青春の殺人者』など
数々のATGの映画
これまでも私の心を締め付け、
青春の負の要素を殺意という
エネルギーで満たした映画は多くあった
それは私の感性がそのような時期だったからか、
余計に共感して銀幕の前から
意気揚々として席を立ったように思う

ただこの『告白』はこれまでの全てと違う
観終わった後
これほどまでに足が重く動けなくなったのは
初めてかもしれない
それは私が同じ世代の子供を持つ親だから?
いつも美しい理念やクレドを語る院長だから?
いや、もっと人間の根源的なところに、
誰にでも存在するであろう悪意を隠す覆いを、
居心地の悪さが起因している
この映画を批判する人は多いだろうが、
その人は人間をもっと遊びのある
しかし現実でも信じられないような事件が多発している。
少年Aはいつでもどこにでも生まれる存在であることは、
疑いようがない。
現実から目をそむけ、能天気を装う私らの頭に
鉄槌を打ち付けるようだ。
ただこの映画でも唯一救いを見つけるとすれば、
やはり愛の欠如が怪物を生み、
翻って言えば、
愛さえあれば救われるのだということでもある
このベストセラーの原作で、
今更ストーリーをあれこれ言っても始まらない。
犯人探しやアクションがメインでないだけに
ネタばれなど関係ない。
純粋に映画力の高い映画
映像の持つ、
活字では表現しきれない力が
漲っているまさに映像芸術といえる映画
間違いなく言えることは、
私自身頭が固くなった大人になってから出会えたことは、
にも拘わらず、
当分松たか子のラストの表情とセリフが、
私の夢の中を支配しそうなことも確かかな
