10月22日丹波市歯科医師会の学術講演会が開催されました。
『患者さんの満足が得られる義歯づくり』と題して、
大津市でご開業されている尾松素樹先生にご講演頂きました。

義歯づくりは歯科医にとって永遠の課題です。
日本では江戸時代に木彫りの義歯が残存しており、
当時の大名、豪商などの贅沢品だったようです。
その技術は世界的にみても優れたものとして扱われています。
現在の義歯の原型は、100年以上前のギージーと言われる人が考案しました。
基本的に今でもその作製方法が大きく変わったわけではありません。
つまりこんなに科学が進歩しても、義歯の世界だけは職人としての技量が問われる、
歯医者にとってはやっかいな分野だとも言えます。
ですから患者さんの側からも、
抜歯と義歯
が、昔から歯医者の上手い下手を計る指標として用いられてきたのも頷けます。
そんな難しい義歯ではありますが、
実は歯医者の側にとってはもうひとつ困ったことがあるのです。
それは保険で真面目にやればやるほど、赤字になるということです。
ですから義歯が上手い先生ほど、あまり保険ではやりたがらないのも事実です。

ところが今回お話をお伺いした尾松先生は、
東京歯科大学の助教授までなさったにも拘らず、
他の開業医が根を上げた難しい患者さんの義歯を、
納得するまで保険でお造りになるのです。
それも普通成功症例ばかりを見せるところを、あえて失敗症例を多く見せて頂き、
そのリカバリーに至るまでを隠さずご提示下さる真摯さに感激さえしました。
私も病院に勤務している時には、開業医の先生方から送られてくる難症例の数々に、
病院歯科としての使命を感じて取り組んでいたものです。
しかし今となってはそれも、採算をそれほど考えなくても良い、
公立病院だったから出来たのだと思います。
ところがそれを尾松先生は開業医というお立場で、
それももともと採算が合わない義歯という世界で引き受けておられます。
これは驚くべきことです。
尾松先生のおじい様は、実は旧氷上郡のご出身であられたそうです。
先生ご自身も、大津に縁のあった私を通じて来た依頼に、
運命のようなものを感じたと言われていました。
そんな先生の講演だけに、余計私などは身のしまる思いで聴かせて戴きました。
前にお世話になった東近江市の大西先生もわざわざ丹波まで、講演を聴きに来られました。
お土産に丹波松茸を山盛り持って帰ってもらいました!
なんて言ってみたかったですね~
すんません大西先生、お一人で寿司官太に行かせてしまって
今度はグツグツ煮込んだ黒く獰猛なやつの鍋をご用意しておきます