熊谷崇先生ファイナル講演
「Do you know Dr.Kumagai ?」
9月にアメリカで出会ったヘンリー.タケイ先生の第一声がそれでした。

熊谷崇先生、日本の予防の大家。
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わく歯科にとって予防の扉を開けて下さったのもその人。
まさか世界的に有名なタケイ先生から
その名前が出るとは、思ってもいませんでした。
その上タケイ先生は、自らアメリカの熊谷を目指していると。

その熊谷先生が、このたび講演家として終止符を打つと言う。
ファイナル講演と銘打たれたその講演は、
AKB48のごとく(ちょっと桁違うけど・・・)、
1000人のキャパがあっという間に完売し、
私たちは、後日売りだされたパブリックビューの会場に
何とか滑り込むのがやっと。

歯科界のイチローとも言うべき人の演者としての
最期の雄姿をひと目見たい。
日本中から、いや世界中から、歯科医療者としての本分に
目覚めさせられた多くの人たちが、東京に集まりました。
2003年 自分たちの羅針盤を求めて
わく歯科はさまよっていました。
それを救って下さったのが熊谷先生。

そのことを話せば長すぎるので、次の機会に譲りますが、
あの時に話を聴いていないスタッフを、
どうしても最終講演に連れていきたい一心で
朝4時半に集合して向かいました。

電車の中でも居眠り半分、おしゃべり半分
東京に着いてからも汐留までの乗継に大慌て。
会場探しでもマトリックスのような近未来的なビルの谷間を
ぜいぜい息を切らして走る走る。

ビルの窓に映る我が姿はすでに汗だく。


やっと5分遅れで着いた僕たちが案内された場所は
映画館でも決して座ることのない一番前の席
スクリーンを見上げる首が10分もすれば疲れてきます。
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そんな中久しぶりの熊谷先生は幾分緊張されているようでした。
ただ70を前にしてエネルギッシュな姿は変わりません。
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自分の人生の選択と題された話は、
常に険しい道を選んでこられた先生の自負を感じます。
厚労省の個別指導を8年連続で受けてこられたことについて
「普通はそこまで指導されると、自殺するそうですが、
私は厚労省の指導基準より世界のスタンダードを選択し続けた。」

生死の境をさまよう大病を経験され、生還されたさいには
「普通でしたら細々と現状維持するでしょうが、
私はさらにチャレンジすることを選択し、
与えられた命を燃焼し続けた。」
そう言われるオフィスは70歳を前にして
チェアーと従業員数は年々増加
http://www.hiyoshi-oral-health-center.org/
現在チェアー25台
歯科医師12名(非常勤2名を含む)
歯科衛生士21名 歯科助手4名
歯科技工士5名 受付5名
という大所帯
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「本気で患者の健康を守るつもりなら、
衛生士とチェアーの数が増えて当たり前だ!
一人の衛生士が管理できる限界は800人。
それを超えるともう一人、もう一台用意しなければならない。
そうなっていないとすれば、それは怠慢以外の何物でもない!」
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いや~久しぶりの熊谷節が炸裂!
こうして何年か前にも私の心に火をつけられたのです。
そしてこのファイナル講演でも
ゴジラのように吐かれる怪気炎で、魂を焼かれてしまいました。
2003年も講演を聴いた帰りの新幹線から、業者に電話して、
一月後にはチェアーが一台増えました。

さあ今回は何台増えてしまうのでしょうか(笑)
柏原高校で話を聴いて、衛生士になってくれた皆さんのためにも
日吉歯科には到底及ばずとも、
ふさわしい職場環境を提供する使命があります!
そして「患者さんの健康を守り育てる」ために、
もっともっと本気でメンテナンスに
取り組む体制を作らねばなりません。
2012年わく歯科はまた大きく変わりますよ~
楽しみにしておいて下さいね!

最後に熊谷先生のファイナル講演への思いが記された文章を載せます。
これがまたかっこいいんですわ!
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![CIMG1781[1]](https://www.wakushika.jp/staff-blog/wp-content/CIMG17811-300x225.jpg)
歯科医師になって以来、
私は「患者さんにとってより良い歯科医療とは何か」ということを
自問しながら臨床に取り組んできた。
最初はより良い技術を、しだいに歯科医療のあり方そのものを求めて、
国内外の多くの先生方に学ぶ機会を得た。
得たものは診療室で必ずためし、
科学と自分の感性を信じて取捨選択しつつ、
今日あるような日吉歯科診療所のシステムを作り上げてきた。
(中略)
私が今回の講演会を区切りに一般的な歯科講演活動から身を引こうと考えたのは、
私個人が今日まで続けてきた歯科医療改革への提言が
ある程度社会に浸透したのではないかと考えたからである。
もちろん、こうした考えが歯科医療界や社会を変えるまでには至らなかったが、
個人として診療所のデータを踏まえた結果を背景に歯科医療のあり方を示し、
診療所のシステムを公開し、スタッフ教育・患者教育についても
常にオープンに語ってきた。そのことについての評価は別にしても、
私個人の一定の役割は果たせたのではないかと感じている。
(中略)
これから私自身が今と同じように仕事に打ち込める日々は
限られているので、今後は歯科医師として過ごす時間の大半を、
私の大好きな臨床に思う存分取り組み、
生涯一臨床医として生きたいと念願している。
