無痛歯科治療の実践
歯医者と聞けば、あの音、あの臭い、あの器械、あの痛み!
怖いイメージばかりが先行して、足が遠のいてしまいますよね。
そして、我慢したあげくに行った歯医者で、「何でこんなになるまで放っておいたんだ!」と叱られると、余計行きたくなくなるのは当たり前です。
歯医者に来るだけで患者様の血圧は10は上昇すると言われていますから。
そのために私たちは日々予防の大切さを啓蒙しているのですが、患者様としては「そんなこと後でいいから、とりあえず苦痛なく、怖くなくこの痛みから解放して!」というのが歯科医院を受診されるときの本音なのではないでしょうか。
そこで、私たちは少しでも患者様に楽に治療を受けていただけるように、いくつかの工夫をしています。
まず、普通の局所麻酔ですが、それそのものが痛くないように
- 麻酔の針を刺す箇所に予め表面麻酔(塗る麻酔薬)を行う。(ゼリー状、スプレー式等)
- 麻酔液の温度を体温に近くする
- 麻酔を打つスピードはゆっくり
- 痛覚が少ない場所を選んで打つ
- 麻酔をしたら効くまであせらず急がずじっくりと待つ
といった工夫をしています。
ところが!
「その麻酔の針が怖いんや!」「歯医者の白衣見るだけで駄目や!」「口の中に器具が入るだけで吐きそうになるんや!」と言われる患者様もおられますよね。
そんな患者様は実際に治療するときに、緊張や恐怖感から余計に麻酔そのものの痛みに敏感に反応したり、実体のない痛みを訴えたり、器具が近づくだけでオエッ!と反応されることもあり、お互いに治療をすることが困難なことがあります。
では、そのような患者様はやっぱりお手上げ?
実はそんな患者様の強い味方が笑気なのです!
笑気ガスは鼻から吸う無刺激性の吸入麻酔薬です。
治療の際は、低濃度の笑気と100%酸素を混合したガスを鼻から吸入します。笑気ガスの鎮静作用により、身体も心もリラックスし恐怖心がなくなり、にこやかな楽しい気分になります。中世の貴族たちがこのガスを使ってパーティーをしていたのも頷けます。
そして笑気ガスの鎮痛作用と、局所麻酔薬を併用することでほとんど恐怖感や痛みを感じなくなり、オエッという嘔吐反射も軽減できます。こうなれば歯医者に行くのも怖くない!
でもこれって安全なの?って疑問がありますよね。
このガスは毒性がなく速やかに体外に排出されますので体に残らず、何ら人体に問題はありません。
ガスを止めて吸うのをやめれば、すぐに車でも帰れます。
患者様の中には、過去に抜歯などの際に疼痛性のショックを起こしたりご気分を悪くされたりした経験を持たれる方もおられますが、そんな方こそ安全に治療するために笑気鎮静が必須です。事故を起こさず安全に治療をするための笑気ガスでもあるのです。
- 医者に行かないといけないけど、怖いから嫌だという患者様
- 過去に歯医者でショックを起こしたり、気分が悪くなった患者様
- すぐにオエッとなり、型採りなどができない患者様
- 歯医者を怖がって治療できない子供さん
- 初めての歯医者で怖い思いをさせたくない子供さん
- 軽度の自閉症や精神疾患をお持ちの患者様
遠慮なくご相談くださいませ!笑気のおかげで、身も心もリラックス!怖くも痛くもありません!
明日から歯医者に行くのが好きになるかも?
※それでも無理な患者様や手術を必要とする患者様向けには、点滴から鎮静薬を入れて半分眠るような状態で行う「静脈内鎮静法」と呼ばれる方法があります。ストレスや痛みなく、あとに嫌な記憶も残さず歯科治療や手術を行うことが可能です。
当院では持続注入器を用いて、ディプリバンという鎮静用剤を用います。
静脈麻酔は速やかに意識を消失させることができる反面、麻酔深度の調整が難しいといわれてきましたが、ディプリバンとそれの流量を自動でコントロールするディプリフューザーTCIポンプにより、麻酔深度が一定に保たれ、安全、快適な手術が可能になりました。目が覚めたら終わっているって良くないですか?!皆さん終わったときには「えっもう終わったんですか?!」と驚かれます。

わく歯科で手術を行う患者さんの9割が、この方法を選択されます。
通常院長自ら行いますが、インプラントなどの長い手術になるときは、専属の麻酔科医が管理いたします。
ただ笑気単独の鎮静法と違い、ご自分で車で帰ることは安全上できません。