ノーベルガイド
11月22日の日曜日にノーベルバイオケアに医院に来てもらって、
ノーベルガイドの勉強会をしました。
技工士の井土先生、わく歯科のオペレーションコーディネーターのあすみんが
休みにもかかわらず快く参加してくれました。
さてノーベルガイドって何でしょう？
普通インプラントを植えるときには、
歯ぐきを切って骨を直に見ながら手術しないと危険です。
ところがそのために術後は顔が腫れたり、痛かったり
すぐに社会活動できなかったりと、
患者様の負担が大きくなることがあるので、
なかなか手術に踏み切れないことがあります。
ノーベルガイドはＣＴで撮影された皆さんの骨の形を基に、
正確にインプラントを植え込むことが出来るように作成された、
樹脂性のガイドです。
切らないでもＣＴのお陰で、骨の形や中の神経の走行がはっきりわかります。
その上あらかじめ植え込む位置がわかっているので、
先に仮歯を作っておくことができるのです。
すると 条件さえ整っていれば、
切らずにインプラントを植え込んだ上
すぐにかみ合わせることが可能 にもなります。
アメリカではこれを一時間で歯が入る
『Ｔｅｅｔｈ－Ｉｎ－Ａｎ－Ｈｏｕｒ 』とも呼びます
確かにお腹の手術でも前のように大きく開腹して、
何週間も入院させる時代ではありません
プスプスとお腹に開けた小さな穴から、
ファイバーをクネクネ挿入して手術？して
術後は入院期間も少ない腹腔鏡が全盛ですよね。
まさにノーベルガイドは歯科の腹腔鏡
とも呼べるものです！！
従来の手術方法では有病者は制限され、
仕事の忙しい患者さんは社会復帰を急ぐあまり、
インプラントが出来ないこともありました。
その意味ではこの術式はとても朗報と言えます
しかしどんな医療も万全ではありません。
いつも言いますが、医療は不確実性の上に成立しているものです。
ノーベルガイドを用いると、まるで誰でも簡単にできるように
感じてしまいますが決してそうではありません。
腹腔鏡の手術で何かトラブルが発生すれば、すぐに開腹手術に切り替えます。
ましてやお腹を一度も切ったことがない外科医が、
最初から腹腔鏡を使うことなどありえません。
解剖学的な知識や基本的な術式の経験
が積まれているからこそ、安全便利な方法なのです。
ですからノーベルガイドと言えども、切る準備なく施行することはございません
十分なシュミレーションと万が一に備える心の準備が、
慢心を防ぎます
すでに私もノーベルガイドを希望された患者さんをお断りしました。
それは骨がなかったり、周辺の歯ぐきの状況が悪かったりと、
ノーベルガイドだけでは後々トラブルを生むことが予想出来たからです。
何でもそうですが、時代とともに道具は便利になります。
しかしそれを使う人間の倫理観や技術が進歩しているわけではありません。
私もいつも機械に振り回されていますが、
結局スイッチをＯＮにするのもＯＦＦにするのも我々人間です。
使うも使わないも私達が決めることには違いないのです。
その意味ではいつも
新しい技術を導入するときには、
より慎重に、より真摯な気持ちで
初心を忘れず取り組むようにしています。