ピエゾサージェリー~小川勝久先生
10月25日
名古屋でピエゾサージェリーのセミナーに参加しました
ピエゾとはこれまでのようにドリルで骨に穴を開けたり、
切ったりするのではなく、超音波を用いて骨切削する新しい器具です。
骨の外には粘膜が、中には神経血管。
上顎洞は骨の下には薄い粘膜。
インプラントをする上でも、骨の周辺にこそ気を配り、繊細なオペを心がけねばなりません。
その意味でもピエゾは、硬い組織は砕いても、
軟組織は傷付けないという画期的に安全な手術器具です。
わく歯科でも今年から使っていますが、まだまだ頻度は少ないです。
<a href="https://www.wakushika.jp/guidance/inside.html
今回、東京でご開業の小川勝久先生にその手法を教わりました。
牛の骨や卵の殻を実際の組織に見立て、さまざまなチップの使い分けを実習して、
細かなコツを学びました。
私はこれまで本当に多くの先生方の話を聴いてきました。
今回小川先生の話を聞いて、その誠実さ、謙虚さ、正直さに心底感動したのです。
自分の失敗症例を隠すことなく題材にして、後に続く私たちに警鐘を鳴らして下さいました。
医療はもともと不確実性の元に成立しています。
何が起こるか分からないのが医療の本質です。
特に歯科の治療の多くは、壊れた歯を全て人工の材料で治し(直す)ます。
その上口の中は他の組織と違い、細菌に侵され、力に曝され、
常に休むことなく機能し続ける過酷な環境と言えます。
そこに入れる人工物が、どれほど全力を尽くしたからといっても、
一生持つなどとは口が裂けても言えないはずです。
ところが多くのセミナーではその後を伝えては頂けません。
そんな中、小川先生は、歯科治療の持つ不確実性を、
全てをさらけ出して見せて下さいました。
そして誰を批判するのでなく、「皆きっと皆苦労しているんだよ」 と
他の先生方を思いやってもおられました。
間違ったとき、力が及ばなかったときは、素直に謝ることが大切だとも。
ピエゾのように生体に優しい器具を使いこなす先生は、
こんなにも人に謙虚でお優しくなれるものかと驚きました。
またひとり尊敬する師に出会ったようです。
私も小川先生のように、誠実に真摯に医療に取り組みたいと思わされた1日でした。