兵人教(兵庫県人権教育研究協議会)での発表
10月3日土曜日に診療を休診にさせて頂いて、PTA事業の一環であります、
兵庫県人権教育研究協議会でPTAとしての実践報告をしてきました。
今年は丹波市が開催地区で、市の中央公民館とともに隣接する氷上中学校を会場にして盛大に行われました。
私は今年PTAの人権啓発部の部長に選ばれているのですが、
まさかこんな大役が待っているとは知らずに受けてしまいました。
でも頼まれ事は試され事! 任された限りは全力でやらせて頂きました。
初めて参加したのですが、その規模に圧倒されっぱなしでした。
シャトルバスが何度も往復して入りきれない人で溢れ、熱気で湯気が立ち込めるよう。
中央小学校PTAの実践報告は……長くなるので報告書を貼り付けます。
きっと誰も読んでくれないでしょうけど
「先生ありがとう運動」では前にブログでも書いたあの七メートルもある
ありがとうメッセージの貼られた巻紙を、PTAの仲間たちが開いて応援してくれました。
報告の最中に涙ぐむ方もおられたり、後の討議でも感動したとの声を多く頂戴して、
こちらの方こそ感動させてもらいました。
PTAの皆さんにも労いの言葉と同時に、慰労会を催して下さり、酎ハイをご馳走になりました。
やって良かったな~本当に仲間や家族のお陰です。本当にありがとう !
 
―命をテーマとして―
 
所 属 丹波市立中央幼小PTA
名 前 和久 雅彦
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Ⅰ はじめに
 
本市は、全国的に広がる公立病院を中心にした2次医療の崩壊を、いち早く住民と医師との相互理解により防いだモデル地区として有名である。地域医療が崩壊する中にあっては、病院だけに頼ることなく、親として最低限の医療知識を学ぶことが、子どもの命を守る上でも重要である。また丹波市において母親たちが結成した「柏原病院の小児科を守る会」の活動は今や道徳の教科書にも紹介されるほど全国的に注目されている。その活動の内容は①コンビニ受診をやめよう②かかりつけ医を持とう③お医者さんに感謝の気持ちを伝えよう という自分たちの権利意識を控え、全て相手の立場に立って物事を考えようとした趣旨のものである。結果崩壊寸前だった小児科は救われ、その活動に感銘を受けた全国の小児科医が、学閥や地域を超えて丹波に集まることになった。彼らの動機は「そのような思いやりのある患者がいる地域で働きたい」というものだった。守る会の活動は、誰かに何かを要望することを主体にするのでなく、自分たちの態度、姿勢、考え方を改め、相手の立場に立って自分たちが変わることが解決の近道であることを私たちに示してくれた。相互理解と互いを尊重しあう風土、ありがとうや感謝の気持ちに溢れた地域には、差別やいじめなど生まれないであろう。私たちは歴史を学ぶ同和学習とともに、守る会の活動の本質こそが全ての人権問題の解決策に繋がると考え、命の大切さを知り、ありがとうの輪を広げる活動を本年度PTA人権啓発部の中心に据えている。
 
Ⅱ 取組
 
1 課題の設定
人権教育は、人権問題の認知と歴史的背景の学習とともに、互いの命の尊さを認め感謝する、人間力向上の学びが処方箋になる。
過去2年間、中央小では同和問題を主体とした人権懇談会を実施し、子育て学習講座では子どもの人権をテーマにした講演会を主催した上で、CAP事業などで子ども自身が自らを守る術を伝えてきた。
本年度は過去の取り組みを踏まえ、より一層踏み込んだ子どもの命の守り方を、医療的、実技的観点から学ぶ機会を設け、同時に医療現場再生の実例を、教育の現場にも落とし込むことと、学校、家庭、地域が一体となった「ありがとう運動」を実施するよう取り組んでいる。
2 具体的取り組みと実践事例
(1) 2008年度までの取り組み
(ア) 人権参観日および懇談会
本校の人権・同和教育の取り組みを会員に啓発する場と人権意識の高揚の機会として実施している。懇談会は、担任の先生より授業についての解説があり、その後テーマを設定した話し合いを持っている。昨年度の懇談会では「人権?もう一度立ち止まって考えてみませんか」と投げかけ、子供たちの人権意識を高めるための学校の取り組みやそれを踏まえながら保護者にできることなどについて討議した。
(イ) 講演会
子育てや人権に関する内容の講演会を実施し研修を深めている。昨年度は、藤井妙法氏(天台宗僧侶)による「生きるってすばらしい~子どもの性格はどのようにして形成されるのか~」また、一昨年度は、今道彰氏(毎日放送プロデューサー)「聞こえますか子どもたちの声」という演題で行われた。身近なことではあるが普段考えないことを改めて考え直す機会となった。
(ウ) 地域との連携
子どもたちの安全を守るための交通立ち番には、地区の防犯委員会や地元企業などにも協力をいただいている。中央地区自治振興会の地域作り事業とも積極的に連携しながら様々な活動を通じて(盆踊り・夏休みラジオ体操会・おはようコンテスト・ゴスペルコンサート)学校から地域に広がる活動を心がけている。
(1)2009年度の取り組み
ア 講演会(6月)
講師 和久晋三(丹波市医師会理事)
「命を守る~子どもの万が一を救うために~」
丹波市における医療崩壊の実態とその再生の物語。また学校、家庭の中で熱中症や心臓しん蘯などのいざという時の対処法を学んだ。参加者はその実践的な内容を熱心に聴き入っていた。
イ 着衣水泳(7月)
子どもたちが、着衣のまま川や海で溺れた時に、その不自由さを体験し、いかにして対処するべきかを学んだ。子供たちの感想文では「あわてて泳ぐのではなく、背浮きで助けを待つことがわかった」など自らの命を守るための心がけや実践的な方法を理解したようだった。
ウ「先生ありがとう」運動(9月)
医療崩壊の再生から学んだ「ありがとう」の力を教育の現場でも生かすために、学校の先生方に対する子供たちの感謝の言葉を集め、プレゼントする運動である。家庭内で親子一緒になって、身近な先生たちの美点を探すことは、家庭内にも肯定的な温かい雰囲気をもたらすことになるだろう。そして、子どもたちの感謝の言葉が、子どもやPTAを通じて地域に溢れることが、学校の中に互いを思いやる人権文化を育んでいくと信じて取り組んでいる。
エ 人権懇談会
人権・同和教育を中心に据えた人権学習会を計画し、参加者を増やすため内容、方法の見直しを進めている。
オ 講演会
講師 富原均(西脇市医師会理事)
「真に安心安全な学校づくり、家庭づくり」
長年救急医療の第一線で活躍され、阪神大震災の救命活動を機に、地元西脇に開業し、これまで500回を超える「命の講演」をしてこられた富原医師の、命の大切さを知る講演会を予定している。人権意識の発露も互いの命の価値を尊ぶことから始まる。命の現場で自らの命を賭けて働いてこられた講師だからこそ心に響く内容に期待している。
Ⅲ おわりに
丹波市が誇れる医療再生の取り組みの基盤は「ありがとう」の一言に集約される。このことを念頭に置きながら人権啓発部の推進に努めてきた。活動は途中であるが、講演会の参加者数や着衣泳の子どもの感想から少しずつ手ごたえを感じている。
いじめや差別を許さないというこれまでの取り組みに加え、豊かな人権文化を基盤とした温かい人間関係を築くことが人権課題の解消につながることを信じて今後の取り組みにも励んでいきたい。