鶴歯会 新井俊樹先生
鶴歯会で、東京でご開業されている新井俊樹先生にご講演頂きました。
以前より雑誌などでその長期予後症例を拝見して、
是非ともお話をお聴きしたいと私が懇願。
新井先生が快諾して下さり、今回の講演となりました。
初めてお出会いする新井先生は、
症例と同じくとてもスマートで紳士的な先生でした。
ところがその新井先生も前日の懇親会では、
林治幸先生をお迎えした時と同じく、通天閣周辺の散策で、
すっかりディープ大阪にハマられた模様。
「いや~面白い!衝撃だ!明日来る家内も連れて来よう!」
いや~それはやめとかれたほうが・・・
串カツをたれ壺に漬けながら、
深夜まで興奮冷めやらぬ新井先生でした。
ところが翌日の講演では、
すっかりスマートな紳士に戻られておられました。
ただ冷静な口調の中にも、症例に垣間見える熱い情熱が、
隠しようなく溢れていました。
困ったら安易にインプラントに頼ろうとする昨今の傾向をたしなめ、
自家歯牙移植とコ―ヌス義歯を多用しながら患者に寄り添う姿は、
さしずめ自然農法で作った野菜を優しく
独創的な料理に変えるシェフのよう。
どのケースにも『患者○○才 術者●●才』と記載され、
術者の年齢と技量が治療の結果にいかに影響を与えるかと、
自らを考察されていました。年齢の上昇ともにさらに美しく繊細で、
無理のない治療へと流れるケースを拝見し、
日々の診療をただこなすだけでなく、
常に自己カンファレンスを怠らない先生の姿勢が見えるようでした。
私たちは携帯電話を手に入れたことで、
相手に会いたいという強い気持ちが薄れたのではないでしょうか。
CTを手に入れたことで、これまでは見えたであろう
レントゲンの裏側を見通す想像力が、
薄れたのではないでしょうか。
インプラントやCAD/CAMの登場で、
本来の歯やエナメル質を守る気持ちが
薄れたのでは意味がありません。
新井先生の臨床には歯科医師としての初心が溢れていました。
便利さは、人間の本来の命や治癒力を軽んじるものではなく、
それを活かしてこそ価値があるというもの。
安きに流れない先生の臨床は、
私たちに多くの啓発を残して下さいました。
新井先生は翌日久しぶりの大阪で、奥様とデートされたそうです。
USJや道頓堀を廻られた奥様からお手紙を頂戴しました。
そこには「どこに行くよりも通天閣周辺が楽しかったです。」と
果たしてそれで良かったんでしょうか・・・

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