子育てサイト『すくすくポケット』②
齢という字は、「歯が命」と書きます。
芸能人の話ではありません(笑)
江戸時代の養生訓で有名な貝原益軒は
「人は歯をもって命とする故に、
歯という文字を齢ともよむ」と言っています。
昔から日本の入れ歯作りの技術は世界的に見ても、
かなり高いレベルにありました。
しかし松脂で型を採って作る当時の木彫りの入れ歯は、
名人の技法で作られる物として、あまりにも高価で、
庶民の口に入る代物でなかったことも事実です。
つまり歯を失うことは、食べることや話すこと、
明るい笑顔を奪う、まさに命を失うことと認識されていたのでしょう。
数年前、兵庫県の歯科医師会がこんな調査をしました。
歯が20本以上残っている方と残っていない方を対象に、
一般医科の国民健康保険で掛かった医療費を調べたのです。
するとどうでしょう。歯が残っていない人は、
医療費が25%以上も高かったのです。

それは歯がないと病気に罹る率が高くなることを
証明するデータでした。
こんなに簡単に入れ歯が装着できる現在でさえそうなのです。
江戸時代以前では推して知るべしでしょう。
皆さんは歯周病で抜かれた歯をご覧になったことはあるでしょうか?
それは1mm四方に一億匹のバイ菌が付着した、
腐った釘のようなもの。
こんな物を身体に何年も刺さったまま放置していたことに、
歯医者さえ驚かされます。
身体に10㎝四方の潰瘍があるのと同じです。
普通釘が何年も刺さっていると様々な病気になります。
最近ではそうした研究も進んで、歯周病からもたらされる病気が、
いろいろ解明されてきました。
心筋梗塞や脳梗塞、糖尿病に肺炎、
そしてお母さん方に身近な病気といえば低体重児出産です。
歯周病原菌から出た毒素は,免疫細胞を刺激して
プロスタグランディンやTNFαという活性物質を誘導します。
その物質が低体重児出産を引き起こすといわれているのです。
幸運にも普通に出産された方にとっても、人ごとではありません。
歯周病はお母さんの命を脅かすばかりでなく、
子どもにその菌が感染するのです。
母親は自分のことは後廻しでも、子どもを守りたいもの。
しかし母親の口の中が、子どもの命を左右するとなれば、
後廻しとは言えません。
虫歯菌も歯周病菌も、
結局はその家で代々受け継がれてしまうのですから。
「子どもだけは、自分と同じにはしたくない」
そのためには、まずはお母さんの口を守ることが大事です。








